理事長所信

大平理事長2019年度 第69代理事長
大平 亮


2019年度スローガン

シビックプライド
一歩踏み出す勇気 愛する青森を私たちの手で

はじめに

青年会議所が掲げる「明るい豊かな社会」とは、その地域に住まう人々が自らのまちに誇りをもち、生き生きと誰もが共存する社会であると考えます。「明るい豊かな社会」とは、その時代時代の価値観や有り様によって変わり続けるものだと考えます。 今の時代には今の時代の課題があり、未来には未来の課題があります。 現代を生きる私たちが今行うべきことは「明るい豊かな社会」の実現を願い、自らが住み暮らすまちをより良くしようと行動することです。では、まちを愛し、まちのために行動するためには、どのようなことが必要でしょうか。私はまちに対する愛着と当事者意識であると考えます。「シビックプライド」というまちづくりの概念があります。直訳すると「市民の誇り」です。この言葉の中には、まちに愛着をもつ所謂「郷土愛」と、まちの更なる発展や活性化を願い、市民自らが能動的な行動を実践する「当事者意識」を含んでいることが特徴とされます。つまり、自分たちのまちの未来は自分たちで描いていこうという気概を醸成するのです。
郷土愛の源泉は様々です。文化、歴史、自然、観光、縁故。愛着を感じる要素は市民の数だけ存在します。私たちのまちには、日本を代表する祭りとして誉の高い青森ねぶた祭があります。また、豊かな自然に育まれ、滋味に富んだ食材も溢れています。さらに、三内丸山遺跡をはじめとする縄文遺跡群に端を発する歴史や文化。このまちにはここにしかない魅力を有しており「オラがまちの誇り」は枚挙に暇はありません。そんなまちの誇りというべき魅力を感受するとともに、このまちに住み暮らす一人ひとりが、自らがまちを構成する一員であるという当事者意識をもつことが重要なのです。日々の生活と紐づいた局所的な現場レベルのものから、社会・経済情勢に起因する困難なものまで様々に課題はあるでしょう。そんな課題が目の前に現れた時、当事者意識をもってさえいれば、それを如何に解決するのかを考え、改善策を探ります。何かが足りないと不満を嘆くより、こうありたいという理想を形にするために勇気をもって一歩前に足を踏み出す。そんな前向きでポジティブな行動が必要なのです。しかし、残念なことに現在の世論は、まちが、政治が、国が悪いのだ、誰かが解決してくれるはずだ。そんなネガティブな想いを巡らし、目を背けてしまいます。他人事ではなく自分事として捉え、能動的な行動に移す。自らが愛すべきまちだからこそ、5年先、10年先の未来を捉え、自分たちの手でより良いまちにしていかなければならないのです。
人はまちを動かすエンジンです。人々の自信や希望や活力に溢れた前向きな気持ちは、まちをより良く変化させる大きな原動力となるのです。初めは一人や少人数の行動でも、この場所をより良いものにしようとするポジティブな気持ちは共感を生み、やがて周囲を巻き込んでいきます。まずは私たちが率先し、その先導者となる必要があります。人と人とをつなぎ、人と地域をつなぐ。まちや市民を巻き込み、私たちの発信する運動を力強く展開することは「明るい豊かな青森」を実現するのです。

ひとがまちを創り、まちがひとを創る

ひとづくりはまちづくりである。青森青年会議所は様々の事業を通じ「明るい豊かな青森」の実現に向け、活動している団体です。まちを愛し、自らが住まうまちの課題に対し、能動的に行動できる。そんなまちを牽引するリーダーを一人でも多く増やしていく必要があります。
では、まちを想い、多くの市民を巻き込むリーダーたる人財となるためにはどのような資質が必要でしょうか。私は「当事者意識」と「主体性」であると考えます。当事者意識とは、全ての事柄や事象を他人事ではなく自分事として捉え行動する力であり、主体性とは自らの意志や判断によって覚悟をもち行動する力です。この二つの資質には相関関係があり、どちらが欠けていてもなりません。人間関係に例えるのなら「どうすれば相手は喜ぶだろうか?」これをまちに置き換えてみると「この場所は、このまちは、どのようにすればより良くなるだろうか?どのようにすれば、より住み暮らしやすくなるだろうか?」頭の中で思い描いただけ、直情的に走ってみただけ、誰かがやってくれるだろう、そんな考えでは何も成し得ないのです。両方を兼ね備えることで、周囲を巻き込み、人々を突き動かすエネルギーとなるのです。まちを創造する主役は私たち自身です。このまちに住み暮らす市民一人ひとりがまちをコーディネートする。そんな環境づくりが必要なのです。まちづくりの第一歩は当事者意識と主体性を持ち得た個人からはじまる小さな点かもしれません。しかし、その点が少しずつこのまちの至るところに増えていくと、どうなるでしょう。やがてそれは一本の線となり、その線をつなぎ合わせていく事で面となり、まち全体を覆うように広く広がっていくのです。
まちに住まう人々の能動的な行動がなければ、まちの発展はありえません。まずは市民意識変革団体の一員である我々が、率先して市民を巻き込むまちづくり運動を展開することで、自らで思考し、覚悟をもって実行できる人財へと成長する必要があります。まちを愛し、能動的に行動を起こすことの出来る人財をこのまちに一人でも多く輩出し、「明るい豊かな青森」を実現いたします。

青森ねぶた祭

過ぎ行く夏を惜しむように夜空を焦がす勇壮華麗な祭り。青森ねぶた祭は国の重要無形民俗文化財に指定され、青森市民が世界に誇れる地域固有の伝統文化です。鮮やかな色彩に彩られた山車。豪壮で身体の芯に響きわたる囃子、躍動感に溢れ乱舞する跳人。そして、祭りの熱気に魅了され、心身ともに高揚する観衆。「四位一体」敢えてこう表現します。観衆を含めたこの四位一体が発するエネルギーは、そこにいる全ての人々の心を魅了していきます。思い返すと私もそうでした。親に手を引かれ、恐るおそる参加した幼少期。首都圏に進学し、久々に再会した旧友たちと。結婚し、子供を授かり帰郷した現在も。丹田に響くというのでしょうか。年齢や世代を問わず、市民が創り、市民が主役となる祭り。なんとも言えず、無性に心揺さぶられるこの衝動は、このまちに生まれてきた誇りを強く感じる瞬間です。
しかし、近年では様々な社会問題に起因し、祭りの担い手不足や参画意識の低下が叫ばれています。特筆すべきは若年層の減少です。実体験が足りない。これこそが若年層による祭り離れの原因のひとつであると思います。次代の祭りを担う若者たちの減少は、祭りの熱を奪うだけではなく、地域の活力さえも奪う解決すべき喫緊の課題なのです。今後も青森ねぶた祭を持続発展させていくためには、この祭りが放つ魅力を伝播し、これまで以上に市民に愛される祭りにしていく必要があります。まずは祭りを学ぶところからはじめましょう。由来や歴史。学びを得たら、次はその魅力を体験します。製作・囃子・跳人・運行。青年会議所だからこそ出来る学びと体験の場を提供し、次代の祭りを担う人財を育成します。
青森青年会議所はこれまで地域を牽引する団体として、ひとづくり、まちづくり運動の一環として、これまで51回のねぶた出陣事業を行って参りました。2019年は改元の年であり、新たな歴史を刻む第一歩となります。今年度迎える52回目の運行を通じて、青森ねぶた祭が持つ躍動感と感動を共有し、これに携わる全ての人々が祭りに対する愛着とまちへの誇りを喚起させ、永続的な祭りの発展へと寄与致します。

郷土愛溢れる青少年の育成

いつの時代においても子ども達は「まちの宝」であり未来の希望です。次代の青森を担い、まちの発展に寄与する子ども達の成長は、責任世代である私たちにとって切なる願いです。まちに愛着をもち、自らが住み暮らすまちの将来を思い描く。そんな郷土愛に溢れ、未来の青森をけん引する子ども達の育成が必要です。
まちへの愛着は、その地域に住まう人々とのつながり、原風景というべき雄大な自然や風土、脈々と受け継がれてきた歴史や文化を体験することで育まれていきます。多感な青少年期において、町会や学区など日常の生活圏を越え、広く、そして大きく存在する、ここでしか経験しえないまちの魅力を体験することは、子どもたちの視野を広げ、まちへの愛着を育む原体験として、将来に渡り子どもたちの心に深く刻まれていきます。また、このまちの歴史を学ぶことも必要です。私たちが当たり前のように享受している豊かさは、先人の努力とその歴史の積み重ねによって成り立っています。「故きを温ねて新しきを知る」という言葉があるように、住み暮らすまちの歴史やその成り立ちに触れることで、新たな発見を得ることができます。この二つの体験を通して学びを得た子どもたちは、自らが住み暮らすまちを誇りある「郷土」であると認識し、まちの未来に夢を描き、将来に渡ってこのまちに住み続けたいと思うようになります。
まちの未来を担う子どもたちが、まちを愛し、誇りを感じ、自らが住み暮らすまちを自分たちで創造していく。そんな郷土愛に溢れた大人へと育成することが、未来の青森を築く礎となるのです。

会員拡大について

日本全国の青年会議所において会員減少が危惧される中、青森青年会議所も喫緊の課題としてこの問題に取り組み続けています。会員拡大は、単に組織を維持するための活動ではありません。市民意識を変革し、明るい豊かな社会の実現を目指す青年会議所運動そのものであり、まちの発展に寄与する人財を増やしていく活動でもあるのです。まちの未来を想い、我々の発信する運動をより大きなものへと昇華していくためには、全会一致で会員拡大に取り組んでいかなければなりません。
行動を共にする人財が身近にいないと悲観していないでしょうか?我々の地域には5万人以上もの未来の仲間足りうる原石が眠っているのです。会員拡大の成否は決して地域差ではありません。全国には会員拡大に成功している青年会議所も無数に存在しているのです。他の成功事例を学び、積極的に取り入れ実践してみましょう。いかなる環境においても、自らの魅力次第で、伝え方次第で、状況はいかようにも変えることができるのです。メンバー一人ひとりが会員拡大に対する当事者意識を持ち、自らの想いを必死に伝えるその姿は、必ずやこの地域にいる同世代の人財を引き寄せるはずです。もちろん、一朝一夕に会員拡大は成し遂げられないでしょう。入会候補者の情報を精査し、誰がどのように関係性を築いていくのか。綿密な入会プロセスを構築する必要もあるのです。さらに、会員拡大を効果的に推し進めるためには、必達すべき短期目標と長期的な拡大戦略を定めることも必要です。一年間で達成すべき明確な数値目標を掲げると共に、長期的な視野のもと、拡大候補者をリスト化し、これを継続案件として引き継いでいく必要があるのです。
一人ひとりの力は小さなものです。しかし、10人、50人、100人と集えば、私たちの発信する運動はより強固なものとなり、まちに、そして市民に力強く伝播され、多くの人々を巻き込みながら、共感のうねりを生み出します。会員拡大は誰かがやってくれるのではありません。メンバー一丸となり、取り組んでいきましょう。志を同じくする人財を一人でも多く引き入れ、多くの仲間と共に行動をすることは、明るい豊かな青森の実現へとつながっていくのです。

次代を担うJAYCEEの育成

青年会議所は単年度制であり、毎年新しい組織へと生まれ変わります。組織の刷新は会の活性化を図る一方で、卒業による経験豊富な人財の減少を引き起こします。次代の会を担い、まちの発展に貢献できる人財の育成は、取り組み続けるべき命題なのです。
新入会員の入会動機はさまざまです。青年会議所の理念に共感し、使命感を抱いて入会した者。新たな友との出会いに期待を寄せ、入会した者。異業種間の交流や自己の成長を願い、入会した者。理由はそれぞれにあるでしょう。「そで振り合うも多生の縁」という諺があるように、人との出会いは非常に尊く、多様な価値観や思考をもった仲間たちとの交流は、人生をより豊かなものにします。時には喧々諤々と意見を交わすこともあるでしょう。時には苦労を共にし、悩むこともあるでしょう。その楽しみと苦労があるからこそ、仲間との絆を育み、人としての魅力を高める貴重な場となるのです。また、例会や各種事業への積極的な参加はもちろんのこと、県内外で開催される各種大会への自発的な参加は、新たな知識や見識を得られるだけではなく、広域的な視野の獲得にもつながります。ひとりでは成し遂げられない課題も多いでしょう。まちの発展を願い、真剣に議論を尽くし、行動を共にすることは、自己の成長と生涯の友人と云うかけがえのない財産を得ることができるのです。青年会議所の醍醐味であり、他団体と一線を画すのは、この人づくりにあるのです。青年会議所の三信条である「修練」「奉仕」「友情」の不変の理念のもと、1年間仲間と共に学び、育まれた強い絆は青森青年会議所の未来を、ひいては青森市をけん引する人財へと成長し、まちの発展に寄与する能動的なリーダーを輩出するのです。

会の運営 総務・広報活動

組織を組織たらんとするには、役割やルールに則り、運営を行う必要があります。我々はその名のとおり、会議から全ての活動を生み出していきます。会議は厳格かつ緊張感を持った場であり、組織の根幹であり続けなければなりません。そして、より強固な組織になるためには、原理原則に従い規則を遵守した組織運営が必要です。また、定款・諸規程や法律の遵守はもちろんのこと、メンバー一人ひとりが組織を構成する一員であるという当事者意識を醸成することで、組織運営に規律をもたらします。さらに、公益法人の会計基準においても、メンバー一人ひとりがこれを理解できるように努める学びの場を設け、青年会議所の運営についての知識向上を図ります。
また、展開する運動を広く発信し、組織の価値をより一層高めるためには、広報活動に注力しなければなりません。例えどんなに素晴らしい活動を行なっていたとしても、地域にその声や姿が届いていなければ、我々の活動はないに等しく、市民意識の変革までには至らないからです。SNSやWebなど広報ツールは多様化し、情報伝達は容易になりました。その一方で誰が何を必要としているのか、どの層に情報を投げかけるのが正しいのか、画一的な活動報告を羅列するだけでは相手にとって有益な情報とはなり得ないのです。活動目的を明確に伝え、相手の心に届く。そんな情報発信が求められているのです。そのためには、組織としてだけではなく、メンバー個々人がもつネットワークと情報拡散力を駆使し、様々な角度へ広報活動を行う必要があります。地域を超え広く発信し、確度を高く情報受信者へとつなげることは共感を生みだし、より一層地域に認められる組織へと成長していくのです。

出向について

私たちには平等に与えられている権利があります。青森ブロック協議会、東北地区協議会、日本青年会議所への出向の機会です。青森から東北、そして日本へと続く扉であり、メンバー一人ひとりがその扉を開ける権利を持っているのです。本年は青森ブロック協議会に会長を輩出する素晴らしい機会に恵まれました。これは青森青年会議所に於いても大変名誉なことであり、かけがえの無い機会を得られることを感謝すると共に、そこで得られる経験を組織に還元していかなければなりません。出向は、他の地域の文化や環境に触れることができます。自分の住み暮らす地域と対比することで、広い社会を実感し、見識が広がります。ひいては自分自身の研鑽や自信へとつながり、地域への愛着心や誇りが醸成されるでしょう。この経験値の還元こそが、組織に新たな活力を与え、運動の質の向上へとつながっていくのです。そして、県内はもとより東北各地、日本全国で志を同じくするJAYCEEとの出会いは、知識や新たな人脈を形成するだけではなく、お互いに切磋琢磨することで、今後の人生においてかけがえのない財産を得ることになるでしょう。個人の成長は組織の成長につながります。会を代表し、成長する機会を得られるのです。臆することはありません。一歩前に足を踏み出し、挑戦し続けましょう。

結びに

2013年5月、縁があり青森青年会議所の門を叩きました。入会当時は決してアクティブではなく、傍観者的な立場で華々しく活動する同期メンバーを眺めていました。利己的で投げやりな自分。仕事や家庭を言い訳にする自分。全ては他人事。いつでも退会できる。そう、うそぶいていました。変化のきっかけは些細なことです。人との出逢いです。本気で悩み苦しみ、課題を乗り越え、達成感を味わう仲間たちを身近に感じ、自分もああなりたい。自分も変わりたい。そう強く感じたからです。羨望と嫉妬が原点だったのかもしれません。そんな些細な想いからでも人は変わることが出来るのです。青年会議所には無限の可能性があり、求めれば求めた分だけ相応のステージがあります。自らで思考し、選択し、行動する。例え失敗したとしても、その過程さえも自身の財産となり得るのです。まずは自分自身を信じ、行動してみましょう。勇気をもって一歩前に踏み出すことで、これまで見ることの出来なかった景色が眼前に広がっていきます。私たちは限られた時間の中で活動しているからこそ、立ち止まっている暇はないのです。やるかやらないかで迷うのであれば、行動に移すことが真です。誰もが幸せを感じられる社会は誰かが実現してくれるわけではありません。私たち自身に委ねられているのです。学びと実行を繰り返しながら己を研鑚し、徳を積んでいく。何事にも臆せず、青年らしい熱意と勇気をもち、まちを想い、人を想い、行動し続けましょう。その先には「明るい豊かな青森」の実現がある。私はそう確信しています。