理事長所信

スローガン

 はじめに

私が青森に帰ってきてから10年が経ちました。自ら住むまちを一度離れることで私自身が磨かれ、その過程においてより一層青森への愛着が強まり、今すぐにでも帰りたい。今すぐにでも身につけた様々な経験をこのまちの発展のために生かしたいと真剣に考え、青森に帰って来ました。私自身もそうでしたが、青森を離れる若者が一様に口にするのは、楽しいことがない。就きたい仕事がない。つまらない。「ない」ものばかりが発せられ、ただひたすら実体のない都会への憧れを募らせ、夢に恋い焦がれ青森を出て行きます。

しかし、灯台下暗しという言葉が教えてくれるように、我々には気づけない素晴らしさが青森にあるのは間違いのないことです。それは、昨今のインバウンドも含めた青森への観光客の人数が教えてくれています。私たちが住むまちを改めて見つめなおし、肯定的に受け入れるべきです。

そして、もしそれでも何もないと思うのであれば、自分自身の手でそうした状況はいくらでも変えていくことができます。ないのであれば作ればいい。ないと思うのであれば生み出せばいい。つまらないと思うなら楽しくすればいい。ここで生活している我々自身がそれに気づき行動に起こせば、必ずやこのまちに生きる多くの人々は心を変え、意識を変え、故郷へのネガティブな思想を払拭し、魅力的なまちとして認識してもらえるようになると信じています。

そして、それにいち早く気づくべき我々青年世代が能動的な行動を起こすことこそ、この青森を明るく輝く豊かなまちへと変えていく原動力になれる。そのように強く思います。

 青森が一つになることの可能性

創造とは多くの経験や知識の集合から生み出される新たな可能性であり、自らの体験、経験、知識をより多くすることにより、斬新なアイデアが創造されていくものであると考えます。だからこそ過去と向き合うことには大きな意味があると言えます。そして、それは自分がした体験経験やアイデアのみにとどまらず、青年会議所という組織を超えて多くの経験や知識、そして人力を結集させることにより、大きなシナジーを生み出します。

こうした過去に向き合う姿勢の欠如が、このまちが他の市町村に比べて広域的にまとまれない理由の一つでもあると考えます。新しいことをしたい。斬新な取り組みをしたい。

新しい風を吹かせたい。そう考える前に、今あるものを積極的に受け入れ研究し、理解しなければ、運動は局所的なものにしかなり得ません。目的が違えば、それぞれに組織が独立して在ることは当然のことです。主義主張が違えば相容れないという事も仕方のないことでしょう。しかし、過去を紐解き、どうして今があるのか。それぞれのこれまでを知り、理解してこそ、新たな可能性を見いだせるきっかけが生まれます。

これから来る未来が予測不能であるからこそ、青森に点在する多くの力を結集させることが求められます。青森の未来に思いを馳せるのは、このまちを愛する人であれば誰しもが共通していることです。過去に学びその延長線上にデザインされた未来は、多くの人を巻き込みながら大きなうねりとなり青森の大きな可能性として輝きます。そしてそのような明るい豊かな青森をデザインしていく原動力は、次の世代を担う我々に他なりません。

温誇知新の精神

今、我々を取り巻く環境は加速度的に変化し続けています。2020年、いよいよ首都49 東京でのオリンピック開催の年となります。それにつれ、日本に向けられる世界からの視線は鮮烈なものとなり、観光産業を中心に高い経済効果を出しています。しかし、この2020年を境にして、日本を取り巻く経済が大きく変化することは間違いありません。

これから起こり得る様々な変化に対応していくことこそ、我々の使命であります。変化に対応していくということは、旧態依然のやり方に目を瞑らず疑問を投げかけ、変革を起こしていかなければならないということです。

ただ、そこで忘れてはならないのが、先達の残した遺伝子ともいうべき意志を無駄にしてはいけないということです。受け継ぎ語り継ぐべきは、脈々と受け継がれてきた先達の想いや意志です。それは「誇り」を受け継ぐと言い換えることができます。何の思慮もない行為としての踏襲こそ旧態依然であり、残すべきものは残し、その上で新しいものを受け入れ創造していくことこそが、真に求められる変革の在り方です。そしてそれにたどり着くためには、まずは受け入れるという姿勢を忘れてはなりません。表面上にある不平不満をさらけ出して破壊していくのではなく、まずは自分がスペシャリストと言えるくらい受け入れてこそ、新しいあるべき姿をデザインできるのです。

自己の感覚を研ぎ澄ましその上で放たれる一手は、多くの人の共感を生み、大きなうねりとなって、青森を結集させる運動を巻き起こせるのです。

温誇知新の精神が息づく青年会議所

青年会議所は人生最後の学び舎とも称されています。学びというものは、年を重ねていくにつれて、「教えられるもの」から「自ら求めるもの」へと変わっていきます。我々青年会議所メンバーはここで誰かから何かを教わるのを期待するのではなく、自ら進んで学びを求め、自らを変革させていく姿勢こそがそう言われる所以であり、JC三信条の修練であると私は考えています。

ここには、単年度制というルールがあります。この独特のルールに誰しもが一度は頭をかかえることでしょう。私自身も、毎年変わっていく担いに追いついていこうと、多くの先達の足跡を辿り今でも勉強し続けています。そして我々は毎年変わる担いについて、0から作り上げることを求められているわけではありません。過去を紐解きながら、自らの調査分析、研究成果を融合させて新たな取り組みへと昇華させる。このような高度なことがここでは毎年のように繰り返されているのです。

そして、ここには尊敬できる仲間がたくさんいます。ほぼ年の変わらない同世代が、自らの仕事や家族も守りながらまちのため仲間のために先頭に立って運動を展開していく姿が眩しくて、目をつむりそうになるメンバーもいることでしょう。こうなりたい、こうありたい、そうした憧れから自らをデザインし、数年後の自分を描いてください。ここにはモデルとなるに値するメンバーが大勢います。

先達の息吹を感じながら、我々は地域に求められる存在としてあり続けるために、受け継ぐものはしっかりと受け継ぎ、時代の変化に際しては過去と向き合いながら変革を繰り返して今があります。それこそまさに、「誇りを受け継ぐ」という事だと私は考えています。誇りを受け継ぎ成長したメンバーは、地域のリーダーとして燦然と輝き続けられる人財へと変貌を遂げられる。ここはそのような可能性を求められる素晴らしい組織です。

創立70周年に向けた新たな可能性の探求

青森青年会議所は、2021年をもって創立70周年を迎えます。1951年、このまちで青年の運動が興り、長い時を超え脈々と受け継がれてきて今があります。そして、まちにとっても多くの変化を辿ってきました。2016年の創立65周年の際には、AttractiveActionAomoriというビジョンを掲げました。そして今、2020年を一つの区切りとし、新たに70周年を迎えなければなりません。

創立70周年に向けて大きく青森青年会議所の舵を切り、この青森を可能性に満ちてワクワクするようなまちへと変化させていくためには、改めて青森の現状を認識していかなければなりません。我々の住む地域により良い変化をもたらす運動を展開させていくには、今市民にとって何が課題と認識されているかを知ることが重要です。そのために、広く市民と対話、意見交換をしながら現状をしっかりと認識することが求められます。

そして、他団体との意見交換もこのまちで共に活動する仲間との関係を築いていくという観点で重要と考えます。70周年を前に、それぞれの立ち位置を再確認し、多くのシナジーを生みだしながらまちづくりをしていくための土壌を構築していくことが必要です。

また、広域的に見たこのまちの現状も合わせて考察していかなければなりません。2020年は、公益社団法人日本青年会議所東北地区青森ブロック協議会が主催する第50回青森ブロック大会が、ここ青森で開催され、本会が主管LOMとなります。県内各地から多くの同志を迎えて行われる第50回青森ブロック大会を大きな一つの手段と捉え、このまちを見つめ直す機会とします。

これらの調査分析研究を踏まえて、本会が発信すべき運動の方向性を現状に即して見つめ直し、2021年創立70周年に新たな運動指針を示すための準備とします。70周年に向けて我々の運動に新たな可能性を見出していきましょう。

子どもたちこそ地域の可能性

まちを歩いていて、子どもたちが元気に遊んでいる様を目の当たりにした時こそ、このまちの可能性を強く感じます。この子達が将来の青森を牽引する人財へと成長できるかどうかは、学校教育のみにとどまらず、まちに住み暮らす大人全員の使命です。子どもは大人の背中を見て育ちます。そして、この子どもたちこそがまちの可能性そのものなのです。

何事にも多感に取り組める青少年期に、多くの原体験ともいうべき経験を積ませることこそ、この地域に住む大人の責任と感じます。その中で特に子どもたちに経験してほしいことが二つあります。まず一つは、今の青森が今誇れるものを、経験を通じてしっかりと落とし込むことです。青森には青森ねぶた祭を始めとし、様々な魅力が多くあります。青少年期にしっかりとそれを心と体で感じることにより、将来地元青森を誇りに思える大人へと成長していきます。郷土を誇れる気持ちこそ、このまちの将来を担う子どもたちにとって重要です。そして、そのような機会を我々が積極的に提供することが、地域に生きる大人の使命と言えます。

また、二つ目として、しっかりと歴史を知るという事です。このまちは、青森大空襲という歴史的惨禍を経ています。今の充足された環境下に置かれた子どもたちには、戦争中の悲惨な状況は想像もできないでしょう。平和で住みやすい充足された今があるのは、先達が地域に生き続ける次の世代、すなわち我々のことを思い活動してきた結果であり、それを多感な青少年期に学ぶことこそ、将来の青森の可能性を託す青少年にとって必要であると考えます。戦火の時代を知り荒野から生き抜いた先達も、戦後75年を過ぎ超高齢となっております。生の声からこの惨禍を学ぶことが出来るのは、教師や親世代から伝聞されたそれとは比較にならないほど意味のあることであり、それが出来る時間は限られてきています。多くの犠牲があり、今の平和が成立しているという事を、故郷の惨禍を通じてしっかりと認識することが、次を生きる世代には欠かせません。

歴史をたどることで今を愛することができます。そしてその上で今を知ることで郷土への愛着が育まれていきます。こうして育った子どもたちは、このまちの新たな可能性を切り開ける人財へと変貌を遂げていくと信じています。

ねぶたの持つ無限大の可能性

真夏の青森を彩る青森ねぶた祭は、国の重要無形民俗文化財に指定されている、このまちが世界に誇る祭です。青森ねぶた祭は作り手の作るねぶた本体、舞い踊る跳人、そして祭囃子を奏でる囃子方が三位一体となることで、祭のうねりを作り、その中に観客が取り込まれていくことで完成されます。

青森ねぶた祭は、まちの経済面においても重要な役割を担っています。過去様々な課題や問題に悩まされてきた祭ですが、安全で安心な祭として確立させるために先達が知恵を絞り、英知を結集させて存続を考え抜いた結果として今があります。青森ねぶた祭は、市民の手で運営され、誰でも参加できるという全国的に見ても稀有な祭です。だからこそねぶた祭は、しっかりとした統制の中で行われていくべきです。しっかりとしたルールの中で行われてこそ、その魅力を最大限に発揮できる世界に誇れる祭であると、多くの市民が理解すべきです。

しかしながら、こうした統制化にあることは、過去と比較して抑圧された状況と感じる市民がいることもまた事実であり、市民のねぶた離れの要因とも考えられます。実際は今も抑圧などとはほど遠い、エネルギッシュで熱い運行が繰り広げられているという事を、もっと市民に知らしめる必要があります。また、ねぶた祭における市民の出番は跳人にとどまらず、囃子やねぶた本体の曳手、その他様々な形で舞台は用意されています。ねぶた祭本番に向けてより多くの市民の熱を結集させる運動を展開していくことこそ、今我々に求められていることと強く感じます。この祭は、市民の手によって存続されていかなければなりません。

そのために我々はねぶた運行団体としてしっかりと青森ねぶた祭に対しての理解を深め、本年もねぶたを出陣し、一年を通じて市民の祭に対してじゃわめく思いを喚起していかなければなりません。運行までの過程において市民の熱を高め、祭本番に結集させる機会を提供していくことにより、市民の熱が最大限に高まり、この祭は更なる熱を帯び未来永劫青森の夏に燦然と輝き続けることができます。

運動を拡散するのは我々自身

運動は多くの市民を巻き込んでいかなければ局所的なものにしかなりえません。近年、青森青年会議所の会員数は減少の一途を辿っております。我々は日々市民に向けて働きかけていかねばならず、当然働きかけていく我々メンバーの数は多ければ多いほど拡大されていきます。数は力であり、力とは運動を拡散させる原動力です。

このまちに生きる様々な人に我々の運動を理解してもらうためには、様々な手段を駆使して相手に情報として届けていかなければなりません。常に対象を意識し、それに合わせて広報戦略を練ることが運動の拡大には不可欠であり、積極的に本会の情報を伝達していくことが求められます。昨今、紙媒体から電子媒体、SNSも含め、様々なツールが存在します。それらを相手に合わせて自在に扱うことが、広報には不可欠な時代になったと言えるでしょう。また、メディアとの連携という視点も欠かせません。露出されることは、運動の拡大はもとより、それを行う我々の緊張感や責任感も併せて高められる効果があります。様々な媒体を駆使して取り組まなければなりません。

そして2021年、青森青年会議所は70周年という節目を迎えます。この記念すべき年を迎えるにあたり、100人LOMを目指して会員拡大を進めてまいります。70周年を期に策定される新しいビジョンを多くのメンバーで共有し、運動を展開する決意をまちで共に活動する多くの関係者に伝えるためには、ビジョンの明確化もさることながら、一人でも多くのメンバーで運動を拡大させていかなければなりません。そして会員拡大を行っていく我々自身がしっかりと本会の運動を理解し意識を高めていくことは、広報戦略と両輪をなして本会の運動を広く拡散する力となります。

メンバー一人ひとりが、多くの可能性を秘めています。それをより大きな集合体としてまとめ上げ、本会の運動に昇華させることが、地域の可能性を無限に広げていくと信じ、日々活動します。

新たな可能性を秘めた新入会員

おそらく誰しもがこの会に入り、どうしてこんなにここにいる人たちは頑張っているのだろうと驚嘆したことと思います。多くの先達はまちのために思いを馳せ、自らの社業もある中で甘えを断ち切り、無駄を削ぎ落とした結果、必然的にそう出来たはずです。そして何より、仲間との切磋琢磨という動機もまた、自らを奮い立たせJayceeとして活躍する大きな原動力となります。

だからこそ、新入会員の今後の活躍は、同期の絆の強さと比例すると考えます。入会初年度に同期メンバーと多く交流を持ち、良好な人的関係を築いていけるかが重要です。そのために、まずは新入会員が主体性を持って事業構築に取り組み、その過程で本会の歴史や過去の事業内容を学びながら、その中で楽しさややりがいを見出せるように導いていく機会を提供します。事業を立案し実施するまでの過程、さらには事業をやり遂げたことによる達成感が新入会員同士の信頼関係と強い絆を育みます。

また、新入会員としてこの会に入り、何もわからない多感な時期にしっかりと基礎を学ぶことが必要です。本会のメンバーとしての所作から始まり、青年会議所が展開する運動の意味や活動内容を参考にしながら、Jayceeとしての素養を学び、次年度以降に即戦力となれるような人財として育成していかなければなりません。次年度以降、本会の運動展開を行なっていく原動力になるために、青年会議所運動の本質を学び、体験的にしっかりと理解することが重要です。

強い絆で結ばれた同期の活躍が自らの心を奮い立たせ、またその様を見た同期が活動に前向きになる。そのような好循環のなかで活躍するメンバーとして存在し続ける新入会員は本会の可能性として生き続け、卒業を迎えるその日まで会の中心となる人財として成長できるような一年を過ごしてほしいと切に願います。

地域に信頼される組織であるために

青森青年会議所は公益認定を受ける前から、先達がその在り方を健全でかつ透明性を持った団体であるべきとして定款・諸規程を柱にして運営を行ってきた団体です。昨今、全国的には公益法人であることの是非が問いただされるようになってきましたが、本質はそこではなく、どうであろうと地域に信頼される組織としての在り方を模索し、運営していかなければならないという事です。

そのためにも、定款・諸規程に定められた内容に沿って適切な運営が求められ、透明性の高い明瞭な財務管理が必要です。そして、規則を守るだけではなく、常にそれを見返し時代に即して更新していくことが求められます。旧態依然の規則に則った運営は、運動を制限しかねません。組織の変革を運動面からだけでなく、運営面からも推し進めることで、常に時代に求められる本会であり続けられると考えます。

また、定款・諸規程に書かれてある内容はもとより、本会の運営面全般に対する基本的な知識を学び理解する機会を提供することが必要です。そうすることにより、信頼される組織の一員として広く市民に認識されていきます。

世間に広まる本会への様々なイメージは、我々が行動で刷新させていかなければなりません。運営面の強化は組織の健全化であり、健全な組織であると認識させるためには、メンバー一人ひとりが意識を高く行動することが必要です。そして、一人ひとりの意識の高い行動は、我々に秘められている可能性を無限大に広げます。

終わりに

青森は可能性に満ちたまちです。しかし、それは人の手によって具現化されていかなければなりません。これはものすごくエネルギーを消費することであり、誰かが行動を起こさなければなりません。そして、その行動が地域を巻き込む運動へと昇華させていくためには、多くの人の能動的な協力が必要不可欠です。

青森青年会議所に入会し、そこに集う多くの先達が第一線で活躍している姿を目の当たりにし、私はただ驚愕しました。社業を決しておろそかにすることなくまちの課題に真剣に向き合っている姿があまりにも眩しかったからです。そんな先達に憧れ、背中を追いかけて私もここまで来ました。傍観者ではいけない。自らが行動を起こさなければいけない。自然にそう思えました。

2020年、創立69年目となります。こうした先達が残した誇りをしっかりと受け継ぎ、自ら先頭に立って活動していけることを光栄に思います。青森の可能性を見出すのは、私たちです。青森の可能性にアプローチしていくのは、私たちです。行動を起こし、まちの多くの人々を巻き込んでいく原動力になるのは私たちに他なりません。

私たち青森青年会議所のメンバーが青年世代、責任世代としてまちのために真摯に取り組まなければなりません。我々自身が自他ともにここ青森の可能性だと認められ、仲間と共に切磋琢磨しながら行動していくことで、このまちは明るく豊かになれる。メンバー一同、そのような覚悟をもって進んでまいります。