【スローガン】
ビジョン
~なりたい自分、描く未来~
【はじめに】
私が青森青年会議所に入会したのは2020年のことです。私は、誘いを受けたことで入会し、入会後もそこまで大きな使命感があったわけではなく、漠然と会の活動に参加していました。
最初の転機は2022年に訪れます。当時の私は、事務局長という役職を引き受け、青年会議所では初めて一定の責任を伴う役職を担うことになりました。理事会に参加したこともなければ、何を成したこともない私にとっては非常に重責のある役割でありましたが、何とかその役割を果たし切ることができたと思います。なぜ役割を果たせたのか、それは、多くのメンバーが支えてくれたからです。それまで接点のなかったメンバーからも惜しみない支援や助言をいただきました。みんなに支えられることで、頑張ってやってみようという気持ちを持つことができました。青年会議所で主体性をもって活動する意味を初めて体験した経験です。
2024年度、青森青年会議所は東北青年フォーラムの主管を担う機会をいただき、私は実行委員長として、会を牽引していく立場となりました。皆に支えられる立場から、皆を支える立場となりました。メンバーのモチベーションは、最初から高かったわけではありません。最初の頃は、どうしてフォーラムを主管する必要があったのかという疑問の声を聞くこともありました。しかしながら、実際に実行委員会を組織し、実動を進めていくうちに、次第にメンバーのモチベーションが徐々に高まっていく様子を肌で感じました。本番当日では、多くのメンバーがそれぞれのポジションから、東北青年フォーラムに携わり、結果として、東北青年フォーラムを大成功に導くことができました。
ひとりの力で出来ることには限界があります。私がチャレンジしようとするときや、壁にぶつかったときには、常に仲間の支えがありました。ひとりの力ではできないことも、多くの力を合わせることで達成することができます。同じ目標に向かう同士であるからこそ、お互いに力を合わせ協力し合うことができます。
この青年会議所に集まった同士が本気でまちの未来を考え協力しながら行動に移すことで、必ずや明るい豊かな未来が実現出来るものと確信しています。
【まちのビジョン】
青森の未来を考えたときに、青森の人口が減少し続けている現実からは目を背けることができません。青森市は転出によって人口が減少した社会減少率が高く、2024年の人口動態調査の結果では、全国で6番目に高いことが明らかとなっております。また、市民意識調査の結果によれば、青森には仕事がない、賃金が安い、雪が多い、不便や不満を感じる、買い物や娯楽などの場が十分でない、という理由から青森に住みにくいと考えている市民が一定数おり、そのことが社会減の要因となっているものと言えます。しかしながら、人口社会減少率の高さの根本的な要因は、市民が、このまちの課題に気付きながらも、課題の解決を他人任せにしてしまっていることにこそあります。
一方で、青森から一度も離れず、青森に留まり続けることが必ずしもいいことだとは思いません。青森から離れなければ見えない景色もあり、青森ではできない経験を積み、より広い視野を持つこともあります。また、青森から離れたときに、初めて地元の価値や魅力に気付くこともあります。大事なのは、一度青森から離れたとしても、このまちへの帰属意識を持ち続け、またいつでも戻って来たいと思えるようなまちであることだと考えます。
言うまでもありませんが、このまちを作り上げているのは、青森に住み暮らす一人ひとりの市民です。決して誰かから与えられるものではありません。まずは、青森に住み暮らす市民が、青森のまちを作り上げているのは自分たちであるということを自覚する必要があります。その上で、自分たちが住み暮らすまちがどのようなまちでありたいかを考え、自分なりにまちのあるべき姿のビジョンを持ち、そのビジョンに向かって行動出来る市民が増えていけば、決して他人任せにならないまちづくりが実現されるものと確信しています。
目指すべきビジョンを持つためには、まちの未来について自ら考えることが必要です。自らの考えを自分以外の第三者と共有することができれば、その考えはより洗練されたものとなります。その結果として、目指すべきビジョンを持つことができれば、自らの思い描く理想のために行動に移すことが出来る自信を得ることができます。自信がつけば行動に移せます。行動すれば次第にそこに主体性が生まれます。主体性のある市民の行動や声をまちづくりに反映させることができれば、このまちは紛れもない市民の手によって作り上げられたまちとして、市民の誇りとなります。
【青年会議所という組織】
青年会議所は、所属する会員に成長と発展の機会を提供してくれる場だと考えます。ただ所属しているだけでは意味を成しません。青年会議所では、所属する会員が十分に活動することが可能な環境と仕組みがあり、青年会議所での活動を通じて、その機会を享受することが重要です。青年会議所には二つの特徴があります。
一つ目は、青年会議所が、単年度制を採用する組織であると言う点です。単年度制によって、会員一人ひとりが様々な経験を積む機会を得ることができます。また、それに留まらず、単年度制によって毎年役職を担う人が変わることで、属人的な要素が排除され、組織としても、普遍的に活動出来る仕組みが用意されています。
二つ目は、青森青年会議所は、独立した団体として存続し続けており、利害関係のないフラットな関係性のメンバーによって構成されているという点です。青年会議所は、所属する会員の判断に基づき、自らが良いと考える事業や活動に取り組むことが可能な環境が用意されています。そのような環境の中で活動することを通じて、とことんまで自分の思い描く組織やまちの理想を追い求めることが出来ます。そして、自分なりに試行錯誤を繰り返し、仲間同士で切磋琢磨する過程で、その人の成長がもたらされます。
青年会議所は、活動を通じて成長した会員の手によって、日々アップデートを行い、新陳代謝を繰り返していく組織です。そのような青年会議所の姿勢は、自らのビジョンを持ち主体性をもって活動する姿の模範といえます。私たちの活動により、市民に主体性をもたらす運動を展開することが出来ると確信しています。
【青年会議所と地域の関わり】
青森青年会議所は、2026年をもって創立75周年を迎えます。これまで、まちの変化に応じながらその時代の先駆けとなる運動を展開し、地域を牽引する組織として、まちと共に歩みを進めてきました。青森青年会議所では、2021年に創立70周年を迎えた際には、今後のまちの将来を考え、まちの未来のため継続して運動していくために運動指針を策定しました。運動指針の一節においては、私たちが時代の先駆けとなる価値観を見出すこと、市民が共感する魅力を創造することが指針とされています。運動指針を策定してから5年が経過する今こそ、検証を行い、創立75周年に向けての準備を進める必要があります。
運動指針は青年会議所だからこその運動の方向性を指し示しているものであり、青年会議所の存在意義を体現したものと言えますが、運動指針策定後の活動を振り返ったときに、運動指針に沿った活動が展開できたとは言い難いのではないかと考えています。その原因の一つとしては、事業構築の際に運動指針が意識されなかったためではないかと考えます。
せっかく作り上げた運動指針を活かすための仕組みを今一度見直していく必要があります。
まちの方向性を決めていく主体は、そのまちの市民自身であるべきです。しかしながら、実際にまちの将来像を意識して行動している市民は少数ではないかと考えています。まちの将来を担うであろう子どものうちから、このまちの未来を考え将来像を意識することができれば、その子どもたちは大人になったときに、実現に向かって行動に移すことが出来ると考えます。そのため、私たちは、まちの将来を担う子どもたちに対して、自由な立場から、このまちの将来を考える機会を提供する必要があります。そして、そのような若者が増えていけば、主体性をもった市民の手によるまちづくりが実現していくと確信しています。
市民の意識の調査分析を踏まえ、青森青年会議所が今度もこのまちのためにどのような活動を展開していくべきかを見つめ直します。そして、創立75周年に向けて、私たちの運動に新たな可能性を見出していきましょう。
【ねぶたの未来のために】
我がまち青森には、青森ねぶた祭があります。青森ねぶた祭は、国の重要無形民俗文化財に指定され、日本三大火祭りの一つとして、これまで多くの人を魅了してきました。今では、青森市民だけでなく、日本全国、海外からも観光客がねぶたを楽しみに青森に訪れるようになり、青森の夏を盛り上げる欠かせない要素となっています。
世界に誇る青森ねぶた祭ですが、ねぶたに携わる人材不足が課題となっています。一方で、市民意識調査の結果によれば、回答者の約50%が、ねぶたを青森の観光資源としてもっと活かした方がいいと考え、ねぶたを始めとした観光資源があることを理由に青森への誇りや愛着を感じると回答しています。約半数の市民が、ねぶたに愛着を持ち青森の誇りだと考えているにもかかわらず、ねぶたに携わる人材はどんどん不足しているという乖離が生じてしまっているのがねぶたの現状であり課題であると考えます。
ねぶたへ積極的に関わる機会のない市民にとっても、ねぶたをまちの誇りであると感じる一面はあります。しかしながら、自ら積極的にねぶたに関わることで、初めて感じ取れる要素もあります。これまで見えてこなかったねぶたの課題に向き合うことに至るのかもしれません。ねぶたの大変さや楽しさを感じる契機となるのかもしれません。青森のねぶたを作り上げているのは、私たち青森市民であるという自覚を持つ契機を得ることが重要と考えます。市民一人ひとりがねぶたに対する想いを持つことが出来れば、今後も市民の誇りとなる青森ねぶた祭を持続していくことにつながります。
そして、その実現のためには、青森青年会議所の関与が必要不可欠であると考えます。20歳から40歳までの青年によって組織された青森青年会議所において、会員が一致団結して主体的にねぶたの運行に携わり、その気概を示すことができれば、多くの市民に対して、ねぶたを主体的に捉える機会を提供出来るものと確信しています。
青森青年会議所は、長年にわたり、運行団体の一つとして青森ねぶた祭に出陣することを通じて、ねぶたに関わって参りました。2023年、青森ねぶた祭の運行中曳手に対する暴力事案を引き起こし、2024年はねぶたに関わる全ての皆様に対する謝罪の念を込めて、青森ねぶた祭への出陣を自粛し、私たちの活動を見直す時間を持ちました。事件の原因の一つには、私たち青森青年会議所としても、ねぶたの運行に対して、特定の人物に頼り切りになってしまい、どこか他人事のように考えてしまっていたと考えます。これを教訓として受け止め、コンプライアンスの遵守は勿論のこと、会員全員が主体性をもって青森ねぶた祭へ出陣する意義と責任を常に自覚しながら、活動していきたいと考えます。その姿勢を示すことを通じて、失われた信用を取り戻し、地域に貢献出来る組織として生まれ変わったことを示していきたいと思います。
【会員の更なる拡大】
青森青年会議所において、ここ最近では会員数が減少傾向にあります。しかしながら、青年会議所の存在意義は、その地域に住み暮らす青年にリーダーシップの開発と成長の機会を提供することにあります。しかし、会員が少なければ、そのような機会を享受する青年が少なくなってしまい、その存在意義を果たすことができません。そのため、一人でも多くの志を持った青年と共に活動していくことが必要です。
会員の拡大を進めるにあたっては、青森青年会議所の存在意義や活動の目的を理解し共感し、一緒に活動に参加してもいいと考えてもらえるような可能性のある人を会員として呼び込むことが大事です。その際には、自分たちの身内や手の届く範囲だけではなく、活動圏域全体まで視野を広げる必要があります。
一方で、会員が増えない原因や理由を分析検証する必要もあります。青森青年会議所では、これまでも毎年のように会員拡大を目指して拡大運動を展開していきましたが、思うように拡大が進まないのが現実です。原因として、誘った相手に対して入会に対する不安を十分に解消できていないこと、入会後のビジョンを示すことができてないことも要因ではないかと考えます。いずれにせよ、今一度、会員拡大のために必要なことを調査分析検証した上での会員拡大に取り組む必要があります。
青年会議所の理念を理解した多くの会員のもとで活動することができれば、より多くの青年層に対して、主体性をもってまちの未来のために活動出来る青年像を示すことができます。その結果、これからのまちを作り上げていく役割を担う人材を育成することに繋がっていきます。青森に住み暮らす青年が、自分なりの成長の機会を求めたとき、まちづくりに取り組みたいと考えたときに、第一に選択肢に上がる組織にしていきます。
【会員が成長出来る組織へ】
青年会議所は、青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供することを使命とする組織です。組織としても、所属する会員に対して、会員自身が成長する機会を掴み取れるようにするための、段階に応じた成長と活躍の場を提供する必要があります。
まず、新しく仲間となった会員に対しては、自ら青年会議所の活動や運動に参加したいと思えるような雰囲気を作る必要があります。活動への参加を新入会員任せにするのではなく、青年会議所の事業や活動の面白さを伝え、参加してもらえるような活動が必要です。日々の活動に参加するうちに、会員同士の交流が深まり、青年会議所での活動に目的意識をもってもらえることを目標にしていきます。
また、既存の会員に対しては、各々が青森青年会議所を構成する組織の一員であり、青森の未来を担う当事者であることを自覚出来る機会を提供します。例会や事業など委員会の垣根を越えて会員全員が集まる機会を活用し、会員全体で意識向上を図る場を設けたいと思います。
それぞれの会員が青年会議所での意義を見出し、積極的に活動に参加することができれば、組織としても、より主体性をもった活動を展開することができます。
【組織を支える土台】
青年会議所が活動出来るのは、これまで先輩諸氏が地域と共に歩んできた結果として、現在に至るまで地域に必要とされ信頼されている団体であるからこそです。これからも地域に根差した活動を展開するためには、これまでの積み重ねてきた歴史の上に私たちが存在することを意識し行動する必要があります。
青年会議所は、定款・諸規程を遵守しつつも、創立からその時代に合わせて組織を見直し続けアップデートを続け、今日まで存続してきました。これからも将来にわたり活動を継続していくためには、定期的に組織としての在り方を見直し、必要に応じた見直しを進めていく必要があります。
青年会議所の事業や運動は、各委員会の手で構築されていきます。各委員会には、十分に事業構築に集中してもらいたいと考えています。そのためには、財政面やコンプライアンス面などのソフト面に関するフォローが必要不可欠です。会の全体としての規律や財政を担う立場として、各委員会の活動を支えていく仕組みが必要です。
また、青年会議所の運動や活動は最終的には、このまちの市民に向けてのメッセージとなります。私たちの運動やその成果が市民に伝わり、市民に共感してもらえるような仕組みづくりが必要です。また、市民に向けての情報発信を意識することによって、より良い事業を構築していくことに繋がっていくものと考えます。
対外を意識してのサポート、対内を意識してのサポートの両面からのサポートによって、各委員会は各々の役割を全うすることができ、集中して事業や運動に取り組むことができます。
【終わりに】
青年会議所での活動に意味づけを与えるのは、活動する一人ひとりの会員です。各自が目的意識をもって活動をすることができれば、その人の思いは、他の人にも必ず伝わると考えます。人の思いの集合によって組織や社会が作られています。これは青森青年会議所もこのまちも同様です。決して他人事には考えず、自分自らの思いや信念を持った人が一人でも増えていけば、その組織や社会の勢いはより大きなものとなります。一人ひとりの思いをもとに、明るい豊かな社会を築き上げていきましょう。